2017年 02月 24日
「夜」 / 詩 |
キッチンのダウンライトの下で
静かな夜の 時は流れ
窓の外からは
時折唸る風と
遠くから届く サイレンの音
微かに
歯磨き粉のペパーミントの香り
ペンギンカフェの
オスカータンゴが 空気を揺らし
やや不穏な気配を孕む鼻腔
50度のウォッカの中に閉じ込めた
ハーブの雫を 白湯に落として
ふつふつと沸く
水の音を耳奥に浸透させる
まとめられた 荷物
壁際に生まれる 余白
全て持ち帰ると また寂しがるから
また幾つか 収納しておく
買い足した コバルトブルーの皿
玄関先の 文庫本
椅子の背に カーディガン
去年の隣に 今年の花
こちらでの思い出に
少し残してゆく 木の実たち
彼らに不在を託し
明日は晴れるだろう
人待ちの 静かな夜
窓の外から
風の唸りが聞こえる
by RyoRakusui
| 2017-02-24 02:24
| 文芸系